- ボツリヌス療法とは
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ボツリヌス療法とは、膀胱の筋肉をゆるめる薬を膀胱内に直接注射する治療法です。
世界90ヵ国以上で認可されています。(2019年12月現在)
- ボツリヌス菌が作る天然のたんぱく質「ボツリヌストキシン」を膀胱の筋肉に直接注射します。ボツリヌス菌を注射する訳ではありませんので、ボツリヌス菌に感染する心配はありません。
- ボツリヌス療法は健康保険が適応になります。年齢や収入によっても医療費の負担額は変わってきます。
- ボツリヌス療法の効果
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ボツリヌス療法によって次のような効果が期待できます。
行動療法、飲み薬や貼り薬で効果が不十分な患者さんに対し、有効な治療法です。
- 突然起こる強い尿意が減る
- 尿もれの回数が減る
- 日中の排尿回数が減る
- 夜間の排尿回数が減る
- ボツリヌス療法の投与方法
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- 膀胱の筋肉に20〜30ヵ所注射
- 注射は10〜20分ほどで終了
- ボツリヌス療法では、膀胱鏡という尿道から挿入する内視鏡を使用します。
- 医療な収縮が生じている膀胱の筋肉に直接薬液を注入します。希望により局所麻酔などで痛みを和らげます。処置自体は10〜20分ほどで終了します。
- 処置は外来で可能です。(ご希望や状況により入院で行う場合もあります。)
- ボツリヌス療法の流れ
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ボツリヌス療法は、数カ月に1度の注射で治療を行います。
治療の流れ
- 初回治療
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膀胱内に直接注射します。
通常、効果は治療後2〜3日であらわれます。
- 受診(1〜2回)
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初回治療後2週間以内に残尿量を測定します。治療後の症状について、医師と相談しながら、次回治療の必要性を決定します。
- 2回目の治療
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効果がなくなってきたら、あらためて治療を行います。
通常、過活動膀胱では4〜8ヵ月、神経因性膀胱では8〜11ヵ月にわたって効果が持続します。
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神経因性膀胱 8〜11ヵ月 過活動膀胱 4〜8ヵ月
- ボツリヌス療法の副作用
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ボツリヌス療法を受けた際に、下記の症状がみられた場合はすぐにご相談ください。
- 尿路感染
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尿路感染により炎症が生じると、排尿時に痛みを感じたり、発熱したりすることがあります。
- 残尿の増加
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尿を全部出すことができなくなり、膀胱内に尿がたまってしまう症状です。
- 尿閉
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尿が出づらいなど、排尿がスムーズに行えなくなる症状です。
残尿の増加、尿閉などの副作用は、効果と同様、時間の経過とともに消失します。なお、これらの治療に「自己導尿」が必要な場合があります。
- 自己導尿について
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カテーテルと呼ばれる管を使用し、膀胱にたまった尿を自分で排出する方法です。
症状がおさまれば、自己導尿を続ける必要はありません。
- 治療前に注意すべきこと
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次のような方は、ボトックスの投与に注意が必要です。
- ボツリヌス療法が受けられない方
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- 尿路感染症にかかっている方
- 尿を出しきれない症状があるのに導尿を行っていない方
- 全身性の筋肉低下を起こす病気がある方
- 妊娠中あるいは授乳中のか、妊娠している可能性のある方
- この治療により、アレルギーを生じることが分かっている方
- 自己導尿が必要だった場合に、導尿の実施に同意いただけない方
- ボツリヌス療法を受ける際に注意が必要な方
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- ボツリヌス療法を受けた経験がある方
- 現在、薬を使用している方(市販薬を含む)
- 喘息など、慢性的な呼吸器の病気がある方
あてはまる方はすぐに医師に伝えてください