過活動膀胱の治療「ボツリヌス療法」

突然の尿意切迫感、我慢できずに尿が漏れてしまう、何度もトイレに行く。こうした症状を過活動膀胱といいます。

一般には原因疾患を確認したうえで、行動療法や薬物治療を行います。また干渉低周波といった(当院ではウロマスターを使用)神経刺激療法も行います。最近では高テスラのかなり強力な磁気刺激装置StarFormer®️で神経刺激療法を行う施設もありますが、保険適応外でかなり高額です。

こうした治療で改善しない場合を難治性過活動膀胱といいます。

その場合、美容整形などでもよく使用されるボトックス®️という薬剤を内視鏡で膀胱の筋層に注入する治療がボツリヌス療法です。

比較的安全で、健康保険適応でもあります。服薬中止が可能になることが期待できます。

ボツリヌス療法とは

ボツリヌス療法とは、膀胱の筋肉をゆるめる薬を膀胱内に直接注射する治療法です。

世界90ヵ国以上で認可されています。(2019年12月現在)

  • ボツリヌス菌が作る天然のたんぱく質「ボツリヌストキシン」を膀胱の筋肉に直接注射します。ボツリヌス菌を注射する訳ではありませんので、ボツリヌス菌に感染する心配はありません。
  • ボツリヌス療法は健康保険が適応になります。年齢や収入によっても医療費の負担額は変わってきます。
ボツリヌス療法の効果

ボツリヌス療法によって次のような効果が期待できます。

行動療法、飲み薬や貼り薬で効果が不十分な患者さんに対し、有効な治療法です。

突然起こる強い尿意が減る
尿もれの回数が減る
日中の排尿回数が減る
夜間の排尿回数が減る
ボツリヌス療法の投与方法
膀胱の筋肉に20〜30ヵ所注射
注射は10〜20分ほどで終了
  • ボツリヌス療法では、膀胱鏡という尿道から挿入する内視鏡を使用します。
  • 医療な収縮が生じている膀胱の筋肉に直接薬液を注入します。希望により局所麻酔などで痛みを和らげます。処置自体は10〜20分ほどで終了します。
  • 処置は外来で可能です。(ご希望や状況により入院で行う場合もあります。)
ボツリヌス療法の流れ

ボツリヌス療法は、数カ月に1度の注射で治療を行います。

治療の流れ

初回治療

膀胱内に直接注射します。

通常、効果は治療後2〜3日であらわれます。

受診(1〜2回)

初回治療後2週間以内に残尿量を測定します。治療後の症状について、医師と相談しながら、次回治療の必要性を決定します。

2回目の治療

効果がなくなってきたら、あらためて治療を行います。

通常、過活動膀胱では4〜8ヵ月、神経因性膀胱では8〜11ヵ月にわたって効果が持続します。

・・・

神経因性膀胱8〜11ヵ月
過活動膀胱4〜8ヵ月
ボツリヌス療法の副作用

ボツリヌス療法を受けた際に、下記の症状がみられた場合はすぐにご相談ください。

尿路感染

尿路感染により炎症が生じると、排尿時に痛みを感じたり、発熱したりすることがあります。

残尿の増加

尿を全部出すことができなくなり、膀胱内に尿がたまってしまう症状です。

尿閉

尿が出づらいなど、排尿がスムーズに行えなくなる症状です。

残尿の増加、尿閉などの副作用は、効果と同様、時間の経過とともに消失します。なお、これらの治療に「自己導尿」が必要な場合があります。

自己導尿について

カテーテルと呼ばれる管を使用し、膀胱にたまった尿を自分で排出する方法です。

症状がおさまれば、自己導尿を続ける必要はありません。

治療前に注意すべきこと

次のような方は、ボトックスの投与に注意が必要です。

ボツリヌス療法が受けられない方
  • 尿路感染症にかかっている方
  • 尿を出しきれない症状があるのに導尿を行っていない方
  • 全身性の筋肉低下を起こす病気がある方
  • 妊娠中あるいは授乳中のか、妊娠している可能性のある方
  • この治療により、アレルギーを生じることが分かっている方
  • 自己導尿が必要だった場合に、導尿の実施に同意いただけない方
ボツリヌス療法を受ける際に注意が必要な方
  • ボツリヌス療法を受けた経験がある方
  • 現在、薬を使用している方(市販薬を含む)
  • 喘息など、慢性的な呼吸器の病気がある方

あてはまる方はすぐに医師に伝えてください

伊賀市にて泌尿器科を診療する「あきやま腎泌尿器科」についてご案内します。

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